物語る

毎年定点観測のように発表の場をいただいていますヒナタノオトさんでの個展が今年も近づいて来ました。
6月25日に初日を迎え、7月3日まで続きます。

毎年頭を悩ませるタイトルですが、「物語る」に決めました。

きっかけは近年人気を誇る樹枝状結晶の石です。
母岩が形成される際に異物質が入り込み、まるで枝葉のような結晶を形成することから見られる模様なのですが、
美しく多く入っているほどに希少で珍重されます。
でも、気になったのはほんの少しだけ結晶が入った石でした。
石の価値としてははんぱもので人気がないことも相まって、それがまるで傷に見えたのです。

少ない結晶が傷に見えた(右)


水を湛えたようなうつくしい母岩に取り込まれていつか魅力となった傷、それがすぐ人にもなぞらえたのは、ずっと昔に読んだ「雪の女王と旅して」の一文が頭にあったからだと思います。

”一生懸命旅をした足の裏の傷跡を見れば、旅の輪郭をたどることが出来ます。
ときに傷跡はひとつの物語を語り、あなたもいつか愛する人にこの物語を話して聞かせるかもしれません。
あなたの足の裏は物語です。”

傷ついたことのない人なんてきっといなくて、みんな奥深くに取り込んで優しさに変えているはず。
辛い思いをしてできた大きな傷ほど人を思いやれる大きいこころに。

単なる異物だったものが長い年月でうつくしい結晶となったように、人も歯をくいしばって傷を結晶に変えられますように。

他にも結晶が面白い石を使った装身具や、お花を選んで作っていただくめでたしの花束にイヤカフが登場したりと、いろいろ詰め込んでおります。
この規模の個展はまた1年後まで予定がありませんので、ご高覧いただけますと幸いです。
たくさんの方にお目にかかれますように。

どうぞよろしくお願いいたします。

「物語る」
2022年6月25日〜7月3日
ヒナタノオトにて
12:00~18:00
期間中 月曜 休み(最終日 16:00まで)
〒103-0007
東京都中央区日本橋浜町3-16-7スプラウトビル1階
電話 & FAX : 03-5649-8048

在廊日 : 6/25(土)・26(日)・30(木)4時まで・7/2(土)・3(日)
最新の開催情報はHP、SNSでのご確認をお願いいたします。


黄金週間

一つ前の文章でHPを更新したのは5年ぶり、そしてどこでも誰にも言っていないのに気づいてくれる人がいてびっくりしています。
気にかけてもらえることとても嬉しい。ありがとう。
変わることなく、元気にしています。

小学校の飛び石連休の短い帰省は体に負担だけれど、家族の顔が見られたらとても安心。
数年前に母が言った「あと何回会えるかな」という言葉を聞いてから多少の無理をしてでも許される限り帰ろうと決めています。


美しい新緑と澄んだ空気の中で家族と川下り、恵文社さんの前に鴨川渡り石、友人と床、空と川とを堪能した帰省になりました。

いつもより透明度の高かった鴨川
保津川下り
昔はいなかった物売りの舟
美味しかったけど
出町柳の渡り石
横にも縦にも広い景色
恵文社さんのすずらんフェア
いつ見てもすぐにいろんなことが蘇る景色

見てもらいたいがたくさんでした。
京都も目まぐるしく変化していくけれど、帰ってきたときにいだく気持ちはいつも同じで、これは生涯変わることはないのだろうな。
家族の元気そうな、嬉しそうな顔を見ながら止まらない話を聞くこと、かつて熱い時間を過ごした場所で友人と変わらずまた笑いあえること、短くても黄金の時間でした。


恵みの時間


ひとつ前にこちらも更新すると書いた次が数年ぶり、、そして4月のふみの日(23日)は数年ぶりのワークショップでした。

光が燦々と降り注ぐ大きな木の下で、作業中の机の上には木洩れ陽が。
こんなにうつくしいワークショップのテーブルははじめてでした。


会いたいひとにもなかなか会えない日々が長く続いていました。
集って一緒に手作業をする、という大好きな時間もなかなかもてなかった長い間幾度も思い描いた時間でしたが、二年以上ぶりに、ギャラリーらふとさんにご尽力いただいて実現したのでした。

ここニッケ鎮守の杜では毎年10月に「工房からの風」という工芸の野外展覧会が開催されています。
わたしは2014年の出展者で、それ以降幾度となく様々に佳い機会をいただいて制作活動が一変しました。
樹木や草花だけではなく何百という作家の芽が育まれた特別な場所です。
かけがえのない出会いもありました。作ることでつながっていて、こんな佳き時間を過ごすことができると無性に会って話したくなります。


久しぶりのワークショップをそんな思い出深いお庭に見守られながら行えたこととても幸せでした。

ご参加くださった方の笑顔も春の光のなかで一層きらきらとしていらした気がします。
「ワークショップはしばらく我慢していたのだけどこんなに楽しいものならば」と嬉しいお言葉をかけていただいたり、何度も、そう、わたしもこんなにも楽しいのだった、としあわせに思いました。
久しぶりに感じた恵みの時間でした。
ご参加くださいました皆様、ほんとうに!ありがとうございました。

ご参加者のみなさまにお庭の恵みのおみやげも
こちらは別のお庭の恵み
こどもたちがよろこぶ恵み



「風50+」を終えて

SNSの更新ばかりを優先してしまい、気づけばこのホームページを随分と放ったらかしにしてしまっていました。
これからは折に触れ、きちんと更新していきたいと思っております。

 

先日の12/2は「風50+」という展示即売会に在廊していました。
「風50+」とは、工房からの風15周年と、メセナ大賞及びグッドデザイン賞受賞の記念に刊行されました図録です。
そして図録作家による展示即売会が催されたのでした。

これまで出展した作家の中から、51名が選ばれ作品と、それぞれの幸せな時間について寄稿した文章で編まれました。
幸運にも選んでいただき、栄えある節目の会に参加させていただいたのでした。
お越しいただいた皆さま、お心を寄せてくださった皆さま、誠にありがとうございました!
盛況のままに無事終了いたしました。

たった1日のために、こんなに豪華な作家の方々の丹精込めた作品が一堂に会するなんて、なんとも華やかで贅沢な展示会でした。
お久しぶりな作家さん、お話ししてみたかった作家さんとお会いできたり、ずっと変わらずに応援してくださるお客さまやはじめましてのお客さまとお話出来ることが楽しくて楽しくて、本当に終わるのが寂しかった。

工房からの風に出展してから、幸運なことに幾多の機会をいただいて、嬉しくて大事に大事に必死の思いで毎回に向かっていました。
今度こそ間に合わないかもしれないと泣きそうになったこともあったし、初日の朝はいつだって不安でした。
でもその先には必ずそんなこと瞬時に吹き飛ぶような幸せが待っていて。
そのさらに先に15周年を記念する図録に載せていただくなんていう、大きすぎるご褒美をもらえるなんて。
自分の手をじっと見ながら、一緒にがんばってきたねと。

会の後の宴でも笑いあって泣きあって、一緒に気持ちを分けあえる仲間がいること、目標となる先輩がいること、支えて応援してくださる方がいること、間違いなくいま豊かな人生の中にいると思えて嬉しかったです。

一夜明け、余韻冷めやらぬ中、丸一日家を空けた私を見つけて喜ぶ子どもたちを見てまた、豊かな日々に感謝しました。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

作品展「ちやほや」

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日本橋にありますギャラリー「ヒナタノオト」さんでの個展「ちやほや」が終了いたしました。

産後3ヶ月での開催ということで、準備に不安なこともありました。
しかし、産後の入院中や退院直後のどうしても作業が出来ない時間があったこともあり、何より夢の機会をいただいたことで、作りたい思いはとても募っていました。
限られた時間をどう使うのかというなかで、作ることがどんなに好きであったかを改めて知ることも出来ました。
眠る時間があれば作りたい、食べる暇があったら作りたい。急き立てられるように机に向かいました。

大切な場所での個展で、お客様はいらしていただけるのか、そして楽しんでいただくことが出来るのかということも不安でした。
しかし、子を連れてだったり、短かったりという在店の間でもたくさんの方々にご覧いただくことが出来ました。
皆さんとお会いして、お話し出来るとても幸せな時間は、かけがえのないものとなりました。
本当にありがとうございました。
作品とわたしのことをよく知っていただいて、大きなお気持ちで迎えてくださるヒナタノオトさんだったからこそのこの機会に、心から感謝しております。


余談ですが、最終日は娘の保育園の運動会でした。
早生まれということもあり、体もみんなよりとても小さく、走ることが苦手な娘は、運動会のハイライトであるリレーをとても憂鬱に思っていました。
しかし、心配する母の前を、見たことのない真剣な顔で精一杯足を動かして走り抜けていきました。
追い抜かれても、精一杯走っていました。
久しぶりに立ち上がって、大声の涙声で声援をあげずにいられませんでした。
細胞の全部が爆発して成長している姿を目の当たりにした思いでした。

そんな爆発のような成長はもう出来ないのかもしれませんが、わたしももっともっと頭に描く思いを丁寧に実現していきたいと思います。そして、「ちやほや」はそこに少しですが確実に歩を進められた展示会となりました。
もっともっと。作りたい。
改めて、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

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ありがとうございました

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恵比寿のギャラリー空箱(ソラノハコ)さんでの展示が無事終了いたしました。
足をお運びいただきました皆様、ありがとうございました。

空箱さんには、一昨年の工房からの風への初出展時に御声がけいただきました。
あの日からの約1年半はいつも良い風に後押ししてもらって、とても充実していてかけがえのない時間を過ごしてくることが出来ました。

期間中1日も在廊することが出来なかったため、皆様にお会いすることが出来ず大変残念でしたが、洋服のSimple soeurさん、ワイヤーのlemon treeさんとご一緒させていただき、とても素敵な展示会となったとお聞きしています。

いつもご覧いただいていらっしゃる皆様と新たに足をお運びいただいた方々、ご一緒させていただいた作家さん、また搬入からの全てを見ていただいたギャラリーのお二方に心よりお礼申し上げます。

また、どんどん進んでいきます。
次の展示は秋を予定しております。
すでに作りたいもの、やりたいことの構想が毎日膨らんでいます。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

ソノヒカリ テノヒカリ

新宿伊勢丹5階、センターステージにて始まりました!
20名の作家の方々の光の結晶が、それはもう眩しいくらいの展示です。

私は新作としてアンデルセン童話「りんごの枝とたんぽぽ」を題材にしたシリーズと、白詰草やすずらんなどの白いお花、金属の透かし技法の装身具などもたくさんご用意しました。
在店は初日、12日(土)13(土)の11〜17時を予定しております。
作品から放たれる春の光を浴びにぜひぜひご来店ください!

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大変遅ればせながら、、

更新がすっかり空いてしまい、新年を迎えてからあっという間に1ヶ月以上が経ってしまいました。。
大変遅ればせながら本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

オーダーでいただいたお仕事のご紹介です。

Pt900/K18yellow gold/Brown diamond/White diamond
Pt900/K18yellow gold/Brown diamond/White diamond

プラチナとゴールドで豪華なネックレスをオーダーいただきました。
いつも作品展に足をお運びいただいており、お見かけするととても嬉しくなります。
とてもお洒落な方で、書かれる文字まで大変美しく何度かお会いしているうちに何となくですがお好みまでわかって来たような気がしています。
今回のオーダーは「発掘品の雰囲気を持つような」とおっしゃって、何度もやり取りさせていただいた気合の入ったもの。
チェーンにもプラチナを使用し、ずっしりと重厚感があります。
とても気に入っていただいた様でほっとしました。きっとお似合いになるだろうなあとお目にかかる時が楽しみです。

Pt900/Diamond
Pt900/Diamond

こちらはお祖母様の指輪を、ご希望のデザインにというリフォームのオーダーでした。
大粒のダイヤモンドを外し、プラチナ台も新たに日常的にご使用になりやすいデザインに仕上げました。
こちらもやり取りを重ね、いつもそのユーモア溢れるお返事に笑顔をいただいていました。
仕上がりにもご満足いただき、「お祖母さんとの思い出をとても身近に感じます」というお言葉が何より嬉しかったです。

想いがこもったものを手から手へ。そしてまた誰かの手に渡っていくことをいつも考え願っています。

クリスマスに工芸を灯して

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日本橋にありますヒナタノオトさんにて「クリスマスに工芸を灯して」展、たくさんの皆様にご来店いただき誠にありがとうございました。

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ヒナタノオトさんはいつもとてもお世話になっているお店ですが、訪れる度にそのホスピタリティーというのでしょうか、お客様へのおもてなしはもちろん、扱っていただく作品に対しても限りない暖かさを感じます。
クリスマスももちろん、とにかく居心地が良くそこにあるのは古き良き家族のためのクリスマスといった雰囲気でした。
わたしも、作品も、本当に幸せものだなあと思います。

今年もたくさんのかけがえのない出会いがありました。
感謝の気持ちでいっぱいです。
来る次の年も、お顔を輝かせていただけるような作品を作り出していきたいと思います。
精一杯努めますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

オーダーエンゲージリング

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男性からのオーダーにて、ご婚約指輪を作らせていただきました。
幾つも手がけてきたご婚約指輪ですが、こういったデザインでといったご希望があるもの、お二人の馴れ初めや思い出からデザインを起こすもの、様々です。
しかし、私がウェディングとして特にはお作りしていなかった既存のデザインを気に入っていただいて、ぜひエンゲージにアレンジしてくださいというものは初めてで、とても嬉しく気合いたっぷりにお作りさせていただきました。
中央に石を配すようにデザインしてはいなかったので、強度の面など細部にも気を配して幾度か作り直し、完成した指輪を納品した時。
遠方のお客様でらしたので、直接のお渡しではありませんでしたが、すぐにご連絡いただき、そこには
「作り手の気持ちが伝わってきて、ものを大切にするということを改めて感じます」とありました。
贈られるご婚約者様に気に入っていただけるか心配しておりましたが、大変喜んでくださったとご本人からもお写真付きでご報告いただき、幸せがこみ上げて来ました。

何がいちばん大切なことなのか改めて考えてもいたこの数日、お二人とこの指輪のことも忘れられない特別なものになりました。

お二人の末長いお幸せを、心よりお祈り致しております。
ありがとうございました。

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0.22ct・Dカラー・triple excellent / K18GG

贈る手紙展

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吉祥寺にあります12号室にて、版画家の中村菜都子さんとの二人展「贈る手紙」始まっています。
足をお運びいただきましたたくさんの皆様、ありがとうございました!

中村なっちゃんとは京都の高校で一年間、机を並べて過ごしました。
(テーマの由来は、その時授業中にしょっちゅうまわしていた手紙のやり取りから)
そのあと東京に転校してしまったのだけど、再会した時全然変わらない姿に感激しました。
でも中身はいろんな素敵なものがいっぱい詰まって、素晴らしい作品を生み出すなっちゃんになっていました。
今回一緒に展示ができる機会をいただけて、とても幸せな気持ちになりました。

版画を水晶で閉じ込めた、共作のジュエリーも並びます。
店主の部屋のようなお店に、二人の手紙をご覧にぜひいらしてください。

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「贈る手紙」
2015/10/28-11/3
12:00 – 19:00
武蔵野市吉祥寺東町1−11−20−1F
各線吉祥寺駅北口より徒歩約6分
0422-27-6865

工房からの風

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少し時間が経ってしまいましたが、第13回、工房からの風が終了しました。
昨年初めて出展者として参加させていただき、今年はワークショップ作家として参加させていただきました。
わたしにとってとても特別な大事な大事な展示会です。
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

去年は無我夢中で、心配なこと不安なことがたくさんあって、初めての大きな風に乗って目まぐるしくあっという間の2日間でした。
幸せな出会いも多く、かけがえのない2日間でした。
それから1年もずっと、あたたかく背中を押してくれる風に助けられ、様々な機会をいただいて、自分でも進んできた、という実感の持てる人生の宝物のような1年でした。

そんな工房からの風の本展にまた違った形で参加させてもらって、また違った視線で見ることが出来ました。
今年の出展者の方々のブースも去年とは比較にならないほど見せていただいたし、風人さんともお話出来ましたし、たくさんいらっしゃるお客様のお顔を見たりお話出来たり、今年もまた、楽しかったです!
みなさん、輝いていたな〜
去年のわたしもあんな顔してたんだろうなあ〜
(こんなすごい人たちがこんなに集まって。奮起もしました。)

やっぱりとびきり特別な展示会です。
来年も何かの形で参加出来るといいな。とても楽しみです。

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